2022年以降は「大相続時代」と言われています。
終戦直後の第一次ベビーブーム時代に誕生した「団塊の世代」が75歳を超え、その子や孫に相続が発生するということからそう言われています。
相続は親の財産を引き継ぐ面もありますが、逆に負の財産を受け継いでいくことになる面もあり、良いことばかりではありません。
特に、不動産。
すぐに現金化が難しい不動産ですが、土地バブルを経て、今ではほとんど使い道のない不動産が事実上「放置」されているケースも目立ちます。
相続で不動産を受け継いだものの、利用することもなく、毎年固定資産税ばかり無駄に取られていると感じている相続人も少なくありません。
それどころか、草刈りなどの管理する手間もかかるし、実際に住んでいるところから離れていたりと、悩みのタネになっているという話もよく聞きます。
そんな負の問題点を解決する制度として、「相続土地国庫帰属制度」という制度が2023年4月からスタートします。
これは、上記の相続不動産の問題について、国が対策を講じた制度です。
相続した不動産の中でも、土地について、個人から国が有償で引き取る制度となります。
空き家に対する固定資産税の強化とならび、放置されている不動産を減少させる狙いがあります。
但し、どんな土地でも引き取ってくれる訳ではなく、下記の(1)~(7)のような細かい条件があります。
(1) 対象となる土地が更地で建築物がないこと
(2) 隣人との間で境界線争いなど、土地を巡るトラブルがないこと
(3) 金融機関の担保権などが設定されていないこと
(4) 土地に隣接した5メートル以上の崖や、土地が30度以上の急勾配になっていないこと
(5) コンクリート片や大きな石など、地下部分に埋設物がないこと
(6) 土壌汚染や有害物質の汚染がないこと
(7) 土地自体に地割れや陥没のおそれがないこと
特に、(1)の条件で明確に「更地」ということが言われていますので、建物付きで相続したような不動産であれば、解体更地にしないと引き取ってもらえないことになります。
(5)や(6)に関しても、相続した土地に対してよく知らない状態のまま受け継いでいるケースもあって、どうやって確認するのか、今後の課題となりそうです。
相続土地国庫帰属制度の問題点として挙げられるのは、これらはすべて土地を提供する側が「有償」の負担を負って、国に土地を「引き取って」もらう制度ということ。
つまり、お金を払って国へ処分するような形となり、通常の不動産取引とは根本的に違うこととなります。
では、いくらぐらいの負担金が必要となるのか?ということになるのですが、
市街化区域以外の土地は一律で20万円。
農地についても一律20万円となるようです。
市街化区域内の土地であれば、その面積によって負担金が変わってきます。
50㎡で約約41万円、100㎡で約55万円、200㎡で約80万円、400㎡で約130万円ほどになるとのこと。
こうした負担金を支払わないとそもそも引き取ってもらえない制度となります。
相続した不動産(土地)を国が引き取ってくれる制度が2023年からスタート。
ただし、引き取りの条件があり、負担金も必要な制度のため、注意が必要です。